今年7月に開幕するパリ五輪。茅ヶ崎市出身のアスリートとして、活躍が期待される1人が自転車トラック競技・女子ケイリンの佐藤水菜選手(25)だ。昨年はアジア大会で2冠に輝くなど国内外で成績を残す。11月には茅ヶ崎市の「スポーツアンバサダー」第1号に就任。「パリで活躍して、地元の皆さんに元気を届けたい」と意気込む。

佐藤選手は茅ケ崎高校在学中に自転車競技を始め、2018年7月に競輪デビューした。

2戦目で早くも優勝を飾り、22年7月の「ガールズケイリンフェスティバル」など数々の主要レースを制覇。昨年は10月の「第1回オールガールズクラシックG1」で初代女王に輝いた。

また、中国・杭州で開催されたアジア大会では、ケイリンとスプリントの2種目で金メダルを獲得するなど、日本代表としても成績を残し、同種目でパリに最も近い位置につける。

負けん気が武器

「幼い頃から競うことが大好きだった」という佐藤選手。「小学生の頃は男子とドッジボールやご飯を食べる量で争っていました。女の子だから勝てないと思ったことはなかった」と笑う。

その負けん気は、競技でもいかんなく発揮されている。163cmの身長は海外のライバルたちと比べて体格的に恵まれてはいないが「小さいことはむしろ長所になっている」と言い切る。

武器はパワーを推進力に代える高いペダリング技術と一瞬の勝機を見逃さない「勝負勘」。しかし昨年は悔しい思いもした。2021年、22年と準優勝し「今度こそ金メダル」と挑んだ世界選手権で、まさかの準々決勝敗退に終わったのだ。

「いいポジションにつけて『いける』と思った分、迷いが出た」と振り返る。だからこそ「オールガールズクラシック」では「もう一度、強気を思い出そう」と攻めの走りを貫いた。

現在は厳しいトレーニングに明け暮れる。「レースに臨む時に少しでも不安を残したくない。昨日までの自分に勝って納得できる走りをしたい」。体組成やパワー値などの計測では、いずれも過去最高の数値が出ており「いい練習が出来ています」と充実した表情を見せる。

故郷に元気を

五輪代表を決定するための国際大会は五輪本番直前まで開催されるため、国内レースと海外を転戦する生活が続く。

ストイックな日々を癒してくれるのが2匹の愛犬。茅ヶ崎市と「スポーツアンバサダー」協定を結んだ際にも「ぜひ茅ヶ崎で自転車の愛好家と愛犬家が交流するイベントをやってほしい」と話すほどだ。

間近に迫った五輪に向けて、自然と気持ちは高まっている。「先輩たちやほかの選手の思いを目の当たりにして、やはり特別な大会だと思うようになりました。出場できたら必ず活躍して茅ヶ崎の皆さん、日本の皆さんを元気にしたい。そしてもっと自転車競技の魅力を伝えられたら」。磨いた心技体を、パリで爆発させるつもりだ。